姉妹校 ニコタマ藝大・ゲスト教授をご紹介!
『
少林少女』などのプロデューサーで知られ、今回が初監督作品となる、『
ハイキック・ガール!』を手掛けた
西 冬彦 さんにゲスト教授としてお話を伺いました。
インタビュアー:大澤陽子(ニコタマ藝大運営事務局長)
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西さんが映画製作を目指したきっかけというのは何だったのでしょうか?僕は子どもの頃から映画が好きで、16歳の時に初めて友達と一緒にアクション映画を作りました。それからずっと今まで映画を作り続けています。ブルース・リーみたいにかっこいいアクションスターになりたかったんです。でも、僕を主役にして映画を撮ってくれる人がいなかったので、自分で撮るしかないなあ、と思って始めたのが映画製作のきっかけだったんです。
僕はいわゆる”映画監督”とは少し違います。今回の『ハイキック・ガール!』という映画では監督という肩書きがたまたま前にでていますが、原作、脚本、プロデュース、演出、そして出演もしています。
これは16歳の頃から同じで、ずっと映画製作全般を続けてきているわけです。
以前は会社員だったとお聞きしていますが。はい、大学卒業後は、出版社に就職したのですが、どうしても映画の仕事がしたくなり映画の配給会社に転職したんです。そこで海外の映画を買い付ける業務を担当しました。
そこで、『
少林サッカー』や『
マッハ!』とか、『
私の頭の中の消しゴム』などのヒット作を担当したのですが、海外の才能ある人々が作った映画を日本に紹介するうちに、だんだん自分自身に疑問を感じて来ました。そこで、日本からも凄いアクション映画を作って世界に送り出していかないといけないと思って、会社を辞めて独立しました。
独立して最初に作った『
黒帯KURO-OBI』という映画で、企画と武術監督を担当して、次に製作した『少林少女』ではプロデューサーとアクション指導をやりました。そろそろ全部自分でやってみたいなという思いが強くなり、今回の『ハイキック・ガール!』では監督にも挑戦しました。
なるほど。西さんはザ・映画人!って感じですね。そういう言われ方が適当かどうかは分かりませんが、本業は何ですかと聞かれることは多いですね。監督なのか、アクション監督なのか、俳優なのか、映画のバイヤーなのかということなのですが、そういう時はいつも『僕の全身が映画です』と答えています。
例えば、頭がプロデューサーだったら、監督は右手、左手が脚本家、俳優が右足、バイヤーが左足とかね。これは武道とまったく一緒ですが、体の一部だけ使って戦う人より全身が連動している人の方がはるかに強いんですよね。
だから何事にもあまりブレないでいられる気がします。
僕は監督もやりながら、プロデューサ−的な頭も持っているし、バイヤーの発想もしているし、会社勤めをしていたということもあり、普通のビジネスマンの発想もしているし、同時多発的に自分がいるんです。
だから逆に言えば、どこまで行っても逃れられないですね。普通の監督さんは、映画が撮り終われば次の作品に行くんですが、僕は作ったあとの売り出し方から何まで全てやらねばなりません。
でも、大変ではないですね。とにかく”映画が好き“なんですよ。
そのことは子どもの頃からまったく変わってないです。
たまに16歳の時に撮った映画を見直す事があるんですが、いつも思います、何も変わってないって。映画と向き合っている自分自身の姿勢が。
そしてその変わってない自分にとても安心します。
映画製作ではいろんな場面で多くの判断が求められると思うのですが、どうやっていつも決断しておられますか?あまり判断を迷うことはないです。ブルースリー的にいうと、”Don't think, feel"。
直感に従うようにしています。常に何が起きても大丈夫という意識で、これは起きないだろうというルール決めはしません。それ以外のことが起きた時に対応できないですから。なかなか簡単ではありませんが、次に何が起きるかわからないというのは人生も一緒ですよね?
ニコタマ藝大の教授の方々には、あなたにとって『身体芸術』とは?という質問をしているのですが、西さんにとって『身体芸術』とはなんでしょうか?そうですね、『身体芸術』という言葉自体が難しいところもありますが、あえて映画製作の観点から言うなら『お金がとれる身体』でしょうか。
どんなに凄い武道の先生や有名な俳優であっても、観客がお金を払って観たいという身体や動きでなければ、僕の映画にとっては何も意味をなさないんです。
しかし、そういう身体を持っている人はなかなかいません。
ですから、僕の一番大切な仕事は、『お金の取れる身体を持っている人』を見つけることですね。目の前に石ころが並んでいて、それがダイヤなのか、それともただの石ころなのか、それを見抜くわけです。
『ハイキック・ガール!』の主役は空手の道場に通っていた17歳の女子高校生です。どうしてこんな無名で普通の子が?と色んな人に言われましたが、僕には確信がありました。こいつはダイヤだぞと。つまり「お客さんがお金を払ってでも見たい」という身体と技を持っていると感じたのです。他の出演者も全てそういう観点から選んでいます。
あえて言うなら映画の買付けと同じですね。人がまだ石ころだと思っている時点で買い付けて、最終的にヒットさせてダイヤであることを証明する。買付けも製作も基本的には同じ気がします。
映画館でハリウッド大作を観るのも1800円、ハイキック・ガール!も1800円。お客さんにそれだけの価値を提示するのが、僕の仕事です。
その価値のある映画を作るために必要なのが『お金が取れる身体を持っている人』。
僕にとっての『身体芸術』とは、そういう事だと思います。
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☆2009年 5月30日劇場公開開始!!
(C) ハイキック・ガール!パートナーズ
■ハイキック・ガール!公式サイトhttp://www.highkick-girl.com/■ハイキック・ガール!公式ブログhttp://highkickg.exblog.jp/●渋谷シアターTSUTAYA
http://www.theater-tsutaya.jp/pc/●シネマート新宿
http://www.cinemart.co.jp/theater/shinjuku/●ワーナー・マイカル・シネマズ港北ニュータウン
http://sp.warnermycal.com/kouhokunt/他、全国順次ロードショー。
●札幌 ディノスシネマ
●名古屋 スターキャット直営館
●沖縄 桜坂劇場